「キャクストンの問題」
毎日更新の難しさ
- 作者:礫川 全次
- 発売日: 2018/11/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
曰く、ブログを研究日誌として開設し、毎日記事を書くことが文章力の向上につながるとのことである。それはもっともだが、毎日書くことなど見つからない。実際、この記事も前回から一ヶ月以上経過してやっと書いている。毎日となると単なる日記帳になってしまわないか。それがいいのだろうか。読んだ本の感想でもいいとのことだから、試行錯誤しながらでも書いていくことにしようか。なにか得られるものがあるはず。
『言語論のランドマーク―ソクラテスからソシュールまで』
- 作者:ハリス,ロイ,テイラー,タルボット・J.
- 発売日: 1997/11/01
- メディア: 単行本
「キャクストンの問題」
今日は「キャクストンの問題」を興味深く読んだ。時代の要請が言語の変化に大きく関わるのである。
新技術というものは社会についての基本的な考え方の見直しを迫るものである。その典型的な例である印刷術は、社会の言語構成について考え直すことを促した。歴史的に見た場合、英国初の印刷者としてキャクストンが抱えていた問題は、印刷術が、文献を一つ一つ忍耐強く手で写していた時とは異なり、個々に個別の変更を施すことを許さない技術であるという事実に起因していた。印刷とは大量複写、しかも(手で写す速度と比較すると)高速の複写である。この二つの要因―機械で正確に複写できることと生産速度が速いこと―が相俟って、書物という製品の販売の可能性がそれまでに例のないほどに生み出され、同時に、潜在的読者層も前例を見ないほどの広がりを見せた。しかし、こういったことは、言語をめぐる社会状況が統一よりも分裂を良しとする場合にはうまく実現しない。ルネサンス期における一つの逆説は、印刷術が仮に200年早く発明されていたなら「キャクストンの問題」は生じなかっただろうということである。その頃にはまだラテン語が他に並ぶもののない公式の言語としてヨーロッパを支配していたからである。
こんな風に毎日書いていけたらいいが、どうなるやら。